DNSレコードの種類

Aレコード、AAAAレコード

Aレコードとは

Aレコード(Address Record) は、ドメイン名に対応する IPv4アドレス を返すDNSの情報です。

たとえば、

example.com → 192.0.2.1

という対応を登録しておくことで、ドメイン名を使ってアクセスしても、実際にはこのIPアドレスに通信できるようになります。

IPv4とは?

IPv4は、最も広く使われているIPアドレスの形式で、
「192.0.2.1」のように数字4つをピリオドで区切った形式(32ビット)です。


AAAAレコードとは

AAAAレコード(Quad-A Record) は、ドメイン名に対応する IPv6アドレス を返すDNSの情報です。

たとえば、

example.com → 2001:db8::1

というような対応が登録されていれば、IPv6を使って接続することができます。

IPv6とは?

IPv6は、IPアドレスの数が足りなくなってきたために登場した、新しい形式のIPアドレスです。
「2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334」のように、長くて複雑な形式(128ビット)になっています。


AレコードとAAAAレコードの違い

項目AレコードAAAAレコード
対応するIPIPv4IPv6
192.0.2.12001:db8::1
形式32ビット、4つの数字128ビット、16進数のブロック

なぜ2種類あるの?

インターネットの初期にはIPv4だけで十分でしたが、利用者や機器の増加によりIPアドレスが不足してきました。
その解決策として、より多くのアドレスを扱えるIPv6が開発されました。
そのため、現在では多くのサーバが両方の形式(AレコードとAAAAレコード)を登録しています。

CNAMEレコード

ドメインの別名を設定するDNSレコード

DNSには、AレコードやAAAAレコードのほかにもさまざまな種類のレコードがあります。
その中で「CNAMEレコード」は、ドメイン名の別名(Canonical Name)を設定するためのレコードです。


CNAMEレコードの役割

CNAMEレコード(Canonical Name Record) は、あるドメイン名を別のドメイン名に紐づけるために使います。
簡単に言えば、「この名前の代わりに、あっちの名前を見てください」と指示するためのものです。

例:
www.example.com → example.com

このようにCNAMEレコードを設定すると、www.example.com にアクセスがあった場合、DNSはまず example.com を参照し、そこに登録されたAレコードやAAAAレコードに基づいて接続先を決めます。


Aレコードとの違い

Aレコードは「ドメイン名 → IPアドレス」の対応を直接設定しますが、
CNAMEレコードは「ドメイン名 → 別のドメイン名」の対応を設定します。

レコード種別内容対応先
Aレコードドメイン → IPv4アドレス例: 192.0.2.1
AAAAレコードドメイン → IPv6アドレス例: 2001:db8::1
CNAMEレコードドメイン → 別のドメイン名例: example.com

CNAMEレコードの活用例

  • www.example.comexample.com
    → サイトのトップページを example.com に統一しつつ、www. 付きでもアクセスできるようにする
  • blog.example.comexample-blog.hosting.com
    → 外部のブログサービスを自分のサブドメインに割り当てる

このように、CNAMEレコードを使えば、複数の名前をひとつの本体(正規のドメイン)に集約できます。


注意点

CNAMEレコードを使う際には、いくつかの制限があります:

  • CNAMEは単独で使う必要がある
    たとえば、あるドメインにCNAMEレコードを設定した場合、同じドメインにAレコードやMXレコードなど他のレコードを併用することはできません。
  • ルートドメインには設定できない場合が多い
    たとえば example.com にCNAMEを設定するのは、多くのDNSサーバやサービスで非推奨・非対応です。
    通常はサブドメイン(例: www.example.comblog.example.com)に使います。

MXレコード、NSレコード

MXレコードとは?

メールの送受信先を指定するDNSレコード

インターネットでメールをやり取りするとき、メールサーバー同士はDNSの情報を使って「メールを届ける先」を探します。
そのとき使われるのが**MXレコード(Mail Exchange Record)**です。


MXレコードの役割

MXレコードは、あるドメイン宛てのメールをどのメールサーバーへ送れば良いかを示すDNSレコードです。

たとえば、ドメインが example.com の場合、
MXレコードで「メールは mail.example.com に送ってください」と指定します。


MXレコードの特徴

  • MXレコードにはメールサーバーのホスト名(例: mail.example.com)が登録されます。
  • このホスト名にはAレコードやAAAAレコードが設定されていて、実際のIPアドレスがわかります。
  • MXレコードには「優先順位」を表す数字も設定でき、複数のメールサーバーがある場合にどの順番で試すかを指定します。
    数字が小さいほど優先度が高いです。

NSレコードとは?

ドメインの管理をするDNSサーバーを指定するレコード

インターネット上でドメインの名前解決(DNS)を正しく行うためには、
どのDNSサーバーがそのドメインの情報を管理しているかを示す必要があります。
それを指定するのが**NSレコード(Name Server Record)**です。


NSレコードの役割

NSレコードは、特定のドメインのDNS情報を管理している「権威DNSサーバー(Authoritative DNS Server)」の名前を示します。

たとえば、example.com のNSレコードが

ns1.example.com
ns2.example.com

であれば、これらのDNSサーバーが example.com のDNS情報を管理しています。


NSレコードの特徴

  • NSレコードにはDNSサーバーのホスト名が記載され、これもAレコードやAAAAレコードでIPアドレスがわかります。
  • ドメインを管理するDNSサーバーは複数設置し、冗長性と信頼性を確保します。
  • 親ドメイン(例: .com)のDNSにNSレコードが登録されていることで、
    DNSの階層的な仕組みが成り立っています。

TXTレコード、SRVレコード

TXTレコードとは?

ドメインに自由なテキスト情報を設定するDNSレコード

TXTレコードは、DNS上でドメインに関する任意のテキスト情報を登録できるレコードです。
主に、ドメイン所有者の認証やメールのセキュリティ設定、その他のサービス連携に利用されます。


TXTレコードの主な用途
  • **SPF(Sender Policy Framework)**の設定
    メールの送信元サーバーの正当性を示すための情報をTXTレコードに記述します。
    これにより、なりすましメールの防止に役立ちます。
  • **DKIM(DomainKeys Identified Mail)**の公開鍵情報
    メールの改ざん検知に使われる電子署名のための公開鍵をTXTレコードに設定します。
  • ドメイン所有権の証明
    GoogleやMicrosoftなどのサービスがドメインの所有を確認するときに、指定された文字列をTXTレコードに登録することがあります。

TXTレコードの例
example.com. IN TXT "v=spf1 include:_spf.example.com ~all"

これは、example.com のメール送信に関するSPF設定の例です。


SRVレコードとは?

サービスの場所(ホスト名・ポート番号)を指定するDNSレコード

SRVレコードは、特定のサービスを提供するサーバーの場所(ホスト名)とポート番号を指定するためのレコードです。
サービスの種類やプロトコルごとに設定でき、主にVoIPやチャット、メールサーバーなどで利用されます。


SRVレコードの構造

SRVレコードは以下の情報を含みます:

  • サービス名(例: _sip、_xmpp)
  • プロトコル(例: _tcp、_udp)
  • 優先度(複数のサーバーがある場合の優先順位)
  • 重み付け(同じ優先度の中での負荷分散の割合)
  • ポート番号(サービスが待ち受けているポート)
  • ターゲット(サービス提供サーバーのホスト名)

SRVレコードの例
_sip._tcp.example.com. 3600 IN SRV 10 60 5060 sipserver.example.com.

この例は、example.com ドメインのSIP(音声通話)サービスがTCPの5060番ポートで、
sipserver.example.com というサーバーで提供されていることを示しています。
優先度は10、重み付けは60です。

    PTRレコード

    IPアドレスからドメイン名を調べるDNSレコード

    インターネットでは、通常「ドメイン名からIPアドレスを調べる」仕組みが使われています。
    これに対して、PTRレコード(Pointer Record)は、逆にIPアドレスからドメイン名を調べるためのDNSレコードです。


    PTRレコードの役割

    PTRレコードは、主に**リバースDNS(逆引きDNS)**で使用されます。
    リバースDNSとは、IPアドレスをもとに、そのIPアドレスが割り当てられているドメイン名を検索する仕組みのことです。

    たとえば、IPアドレス「192.0.2.1」がどのドメインに対応しているか調べたいとき、PTRレコードを参照します。


    PTRレコードの利用場面

    • メールサーバーの送信元認証
      迷惑メール対策として、メール受信側は送信元IPのPTRレコードを確認し、
      正しいドメイン名が設定されているかをチェックします。
      これにより送信元の正当性を判断しやすくなります。
    • ネットワークのトラブルシューティング
      IPアドレスだけではわかりにくい相手を、ドメイン名で特定するために利用されます。

    PTRレコードの設定方法

    PTRレコードは通常、IPアドレスの管理者(ISPやクラウド事業者など)が管理するDNSサーバーに設定します。
    個人や企業が自分で設定することは難しい場合が多いです。


    まとめ

    • PTRレコードは「IPアドレス → ドメイン名」の対応を示すDNSレコード
    • リバースDNSの仕組みの一部で、逆引き検索に使われる
    • メールの送信元認証やネットワーク管理で重要な役割を持つ
    • 設定はIPアドレス管理者側で行われることが多い
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